
商品詳細
発行年:ハンナ・ヘッヒ直筆入りカード 1973 Galerie Nierendorfのオリジナル1970
発行:Galerie Nierendorf
内容:Galerie Nierendorfの1970年のグリーティングカード2枚 一枚はヘッヒ直筆いり
コンディション
経年並
注意事項
画像をよくご覧いただき、ご検討の上、古いものの特性を良く理解頂ける方のみのご注文をお願いします。神経質な方のお求めはお控えください。
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店主よりコメント
ベルリン・ダダの巨星と「退廃芸術」の記憶
1910〜20年代のベルリン・ダダにおいて、唯一の女性アーティストとして強烈な異彩を放ったハンナ・ヘッヒ(Hannah Höch,1889–1978)。
フォトモンタージュやコラージュといった斬新な手法を駆使し、権力構造や性別の規範に果敢に問いを投げかけた彼女の表現は、1930年代のナチス政権下において「退廃芸術(Entartete Kunst)」の烙印を押され、作品の発表や販売を完全に禁じられました。
多くの前衛芸術家が国外へ逃れる中、ヘッヒはベルリン郊外に隠れ住む「内側への亡命」を選択。ゲシュタポ(秘密警察)の目を盗みながら、自身やクルト・シュヴィッタースら仲間のダダ作品・貴重なアーカイヴ資料を庭に埋め、屋根裏に隠し、命がけで終戦まで守り抜きました。彼女が死守した資料群は、戦後のダダ研究における重要な基盤となっています。
今回ご紹介する2枚の二つ折りカードは、ベルリンの老舗・ニーレンドルフ画廊が1970年のクリスマスから翌新年にかけて顧客に送るために制作したグリーティングカードです。
ヘッヒによるオリジナル・リノカット作品『Kleopatra(クレオパトラ)』(1970年)が美しく刷り込まれています。 今回はこの貴重なカードの「対比の面白さ」を存分に味わっていただける2枚セットでお届けします。
・1枚目(未投函の原形): ギャラリーによるクリスマス&新年の祝辞印刷のみが載った、美しく素朴な「公式カード」。
・ 2枚目(ヘッヒの直筆入り): 1970年に刷られたカードのストックを、ヘッヒが1973年の年初に手元から送る際、鉛筆で自ら手書きの言葉を添えた「プライベートな手紙」。
ヘッヒの手書き文面には、こう記されています。
"Mit einem, ach perfekten Verspätung — erlaube ich mir Ihnen die besten Wünsche für 1973 zu senden. Hannah Höch"
(「ああ、なんとも完璧に遅れてしまいましたが……あなた様へ、1973年に向けた最高の祝意をお送りいたします。」ハンナ・ヘッヒ)
1970年のカードを1973年に使いまわしつつ、「完璧に遅れちゃった!」とお茶目に言い訳を添える老ダダイストの軽妙で温かい人柄が、その丸みのある筆跡から生々しく伝わってきます。
先日ご消化したレニ・リーフェンシュタールと、ナチスから「退廃芸術」として弾圧されながらも、地下で密かに前衛の灯火を守り続けたハンナ・ヘッヒ。同時代を生きながらネガとポジの運命を辿った二人のエフェメラ(紙もの資料)を並べるとき、私たちは歴史の光と影、そして権力と表現のあり方を深く考えさせられます。印刷物として量産された1枚の版画カードが、作家本人の肉筆と言葉によって、一回限りの愛おしい対話の記録(エフェメラ)へと変わっていくプロセス。
2枚を並べて展示・保管いただくことで、その背景にある歴史の奥行きと、ヘッヒという表現者の人間味をより立体的に感じていただけますと幸いです。
¥58,000 ($367.41)
※この商品は1点までのご注文とさせていただきます。