• ネットショップを開設するならBASE
  • shopping cart

Blog

2024/05/07 16:38


第二巻フルクサスの制作を進めております・・伊藤さんが遺した膨大な資料を広げては整理分類!整理分類!整理分類!の日々です。
書誌やエフェメラなどより大変なのは信吾さんが遺した膨大なプリント資料。古い紙たちとの闘いです。
今日は、少し寄り道して、清里現代美術館の割と晩年、信吾氏が作成した美術館案内資料を発見しました。どうも来館者に配っていたハンドアウトらしい・・・・でもそれにしてはA4用紙5枚の長文大作です。全ては掲載できないので、資料室(写真)を作った経緯のところだけ抜粋してご紹介します。どこからも支援を得られず、個人美術館の限界への挑戦と格闘。信吾氏の心情が滲んで結構読ませます。
伊藤家から預かっている資料群、信吾さんがこの文中で目指していた方向に、telescopeも少しづつ変化していこうと思っております。
信吾さんが亡くなったのは2017年、もう亡くなって7年目。若いクリエイターの方達にこうしてアーカイブブックを作っていただける日が来るのだと当時の信吾さんに伝えたい。 時々電話をくれる館長は現在進んでいるプロジェクトをとても楽しみにしてくれています。頑張ります!

---------------------信吾氏が作成した館内資料から、最後の部分

5. おしまいに

この美術館は開館以来、他からどのような支援も一切なく、いわば普通の個人の努力で 運営されている美術館です。当然館内の展示にはそうした個人の目と考え方が反映されて 展示が行われています。他の美術館では見られない従来の展示の概念を破った展示も館内 の各所で行われています。また今回新たに設置された新展示室は、元々住居の一部を展示 に利用いたしました。本館とは全く異なる、極めてプライベート性を強めた特異な空間ともなっています。その空間の変化もお楽しみいただければと思います。 


現代美術はこれまで難解と言われ、遠ざけられてきた点も少なからずありました。これまでは、難解のままでもなお作品の美しさを引き出すことに重点を置いた展示を心がけて きたように思います。しかし新展示室の設置は、作品を自分なりの理解で好きなように掲げ、好きなように楽しめばよいという、鑑賞の原点をお見せできるよう心がけました。住居棟のせまい通路のような空間に作品を配置し、あえて公開したのはそのためです。この美術館の展示は、作品をより美しく楽しむという方法の一つのモデルでしかありません。 またそれを古典と現代美術の区別を超えた、自分なりの理解で作品と対峙する美術の原点、と私たちは考えます。


なお館内にある多数の本ですが、その多くは現在なかなか入手困難な本を多数含んでいま す。他の施設ではとても閲覧の対象にならない貴重な本でも、破損しやすいなど、特別な事情がない限り、どれも直接手にとって鑑賞することができるようにいたしました。全て の人々の文化遺産でもあるこうした資料をどうぞ大切に扱っていただくよう改めてお願いする次第です。..


またのご来館をお待ちしております。 ありがとうございました。


清里現代美術館