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2025/09/02 19:00

NPO Telescopeでは、清里現代美術館のコレクションから、The Letter-Edged Black Pressから1968年隔月で出版されたS.M.S. Portfolio(Shit Must Stop)全6巻の展示を9月3日〜SKAC /twelvebooks  で開催いたします。

STORE FRONT さんのご協力をいただき、全6巻フルセット、個別のものなどの購入も可能といたしました。
NPO Telescopeのサイトでは、各作品についての詳細を掲載しています。(リストあり)展示と合わせてぜひご覧ください。
https://www.npotelescope.com/sms-portfolios
なかなか全てを見る機会がない展示になります。
ぜひお出かけください。


会期:2025年9月3日(水)〜10月26日(日)
場所:SKAC (SKWAT KAMEARI ART CENTRE)
東京都葛飾区西亀有3-26-4
定休日:月火(祝日は営業)
営業時間:11:00-19:00
以下公式アナウンスから

S.M.S. (Shit Must Stop)Portfolio
1968年2月から12月にかけて2ヶ月ごとに特別にデザインされたパッケージで頒布郵送された有名無名73人のアーティストによるマルチプル作品集「S.M.S. (Shit Must Stop)Portfolio」
現代では誰もが知る、リキテンシュタイン、デュシャン、マン・レイ、ジョン・ケージ、河原温、オノ・ヨーコ、クリスト、オルデンバーグ他のマルチプル達がこの6つのパッケージに詰まっている。


ウィリアム・コプリー(William Copley)がアーティスト達との長年にわたる関係性から構想、ディミトリ・ペトロフ(Dimitri Petrov)と二人で立ち上げた「ザ・レター・エッジド・ブラック・プレス」から出版された。
2,000セットが制作販売されるものの、当時はあまり振るわず、その後、日本では1988年に西武百貨店(東京・池袋)の展覧会で紹介された。
本展ではその際に清里現代美術館にコレクションされたセットを全て展開し、現代アート史における1968年を検証する機会としたい。

1968年頃、カラーフィールドペインティングやポップアートは爛熟し、ミニマルやコンセプチュアルアートという概念が美術館やギャラリーを中心とするアートシーンに登場し始めた。しかし、アートマーケットがアートの価値を決定する事象、エリート主義的なアートへのカウンターとしてArt into Lifeを謳うFLUXUSムーブメントも発生している。このS.M.S.プロジェクトはFLUXUSに触発されて企画されたとも言われている。

参加アーティストには序列の差異なく、100ドル均一の報酬が支払われ、どんな作品計画にも実現への経費は保証された。数々の複雑なマルチプルを組み立てるための膨大な人件費。アーティストでシュルレアリスト、そして慈善事業家でもあったウィリアム・コプリー自身が夢見たユートピア的なヴィジョンへの挑戦として実践された。当時は先進的な実験的試みであったはずである。FLUXUSのアーティストが参加している点も興味深い。

S .M.S.ではとりたててマニフェストも打ち立てられなかったが、タイトル「Shit must Stop」にコプリーの意思は現れている。

S.M.S.は現在、ニューヨーク近代美術館をはじめとする内外の美術館でコレクションされ、1960年代以降のアメリカアートシーンを語る上で貴重な作品とされている。

本展では、S.M.S.= Shit must Stopを共有したい方達には一部購入も可能とした。
コプリーの挑戦・実験から58年後の私たち、今、そしてこれからのアートをどう捉えていくかが問われている。