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2021/11/01 18:05

前にもブログでお知らせした様に、当店は旧清里現代美術館のこ故伊藤信吾氏の蔵書を預かって運営しています。

では伊藤信吾氏とは???
という事で少しご紹介します。


伊藤信吾(SHNGO ITO)
1947年 東京中野区 生まれ
大学卒業後、東京都の中学校美術教師を定年まで勤める(店主はこの一時期に伊藤氏の生徒でした)
教員現役時代から美術品・ポスターの収集を開始(結構なポスターコレクターでしたが、冷夏の折に湿気により大損害を受け廃棄)
1980年のかんらん舎でのヨーゼフ・ボイス展を観て、ボイスのマルティプル収集を開始
ボイスが亡くなった1986年に初台の自室を改装、収集した資料を展示公開するBeuys Roomを開設。
展示は予約制で、週末に公開。(※上記写真は、そのBeuys Roomに立つ伊藤信吾氏 撮影者は多分友人のカメラマンさん。ガラスのショーケースの下にはベッドが格納されており、伊藤氏はこの住居から教員の仕事に出勤していました。)

1990年、伊藤家の兄弟の協力により、ボイス・ライナー・フルクサスを軸にしたコレクションで
山梨県清里に清里現代美術館を設立。信吾氏本人は東京で教員を続け、兄の修吾氏が館長となる。
この間
1991年 ヨーゼフ・ボイス ポスターコレクション 川崎市市民ミュージアム
1992年 ジョン・ケージ メモリアル
1999年 アーティストブックの世界展 (甲府市教育委員会)
 の企画展示に協力(1993年頃から、伊藤氏の選書で自社サイトネット古書店開始)
この他にも作品貸し出しなどに協力しています。
教員退職後に清里に移る
2014年に清里現代美術館を閉館(伊藤氏の勧めで当店再開) 伊藤氏、兄達と共に清里から転居
2017年 伊藤信吾氏急逝

作品類は、清里から転居のおりに信頼していたディーラーさんに預けて整理してもらいました。
店主が信吾氏の自宅に残された資料・書籍を一気に預かることになりました。

伊藤コレクションは、潤沢な資金があった訳でなく、教員を続けながらの作品・資料収集ですので、
コレクションといってもマルティプルや細かな資料、エファメラといった類のものが多いのが特徴です。
コロナ禍以降は価値観の転換があるように思いますが、当時は大きな作品を購入できる経済力がセットで
評価される時代でしたので、伊藤氏の仕事はあまり注目されなかったと思います。(よく悔しがっていました)
大きな研究施設には軽視されがちな(つまり価格が安い)資料を、海外には一度も行かずに、ネットで世界中から収集していました。
また、その一方、伊藤氏個人が後世の研究者の方にできることとして、
エファメラのデータベース構築を試みていました。(未完!データは残っていますが、未整理のまま放置中)

伊藤信吾氏の先見性、資料収集能力、情熱をによって集められた資料をどうしたらご紹介できるか?
ご遺族(館長さん)の今後のこともあって、現在ネットSHOPという形でことでご紹介しております。
質より量でご紹介する様な、アーカイブ化の役割もあると考えております。
私もこの膨大な資料に向き合いながら伊藤氏の観ていたものを追いかけて勉強させていただいております。
なかなかアイテム追加が捗りませんが、それでも価値あるとお求めになってくださるお客様の皆様には心から感謝しております。
ありがとうございます。

また、今年になってからは伊藤氏のコレクションに価値を見出してくださった若い方達が
資料の一部を紹介展示していただくなど大変なご尽力をいただき、
当店単独ではとても成しえないありがたい展開がありました。


skwat,twelvebooksさんによって、ボイスの資料を京都のskwat hertz 3Fの京都経済倶楽部跡地にて
BEUYS ROOMとして公開展示していただいております。(会期は年末まで。実はまだ4分の1ほど整理中です。ごめんなさい)

場所_3F 京都経済倶楽部跡 
@coconkarasuma
営業時間_13:00 – 20:00(毎週月火休み)
https://www.instagram.com/p/CUqguQ-Bgof/?utm_source=ig_web_copy_link
この資料は、日本の若い研究者さんたちに役立てていただきたく販売せずに保管しております。
ご興味がある方はどうぞお問い合わせください。

2
西荻窪のpoubelleさんでは、伊藤氏が集めたインヴィテーションカードの内、ミニマルやコンセプチュアルアート関係のものを
展示販売していただいています。@raeume.spacesさんが貴重な書籍を合わせて展示してくださっています
会期が延長されて11月3日までとなりました!!

企画展 invitation card(conceptual&minimal)

会期10/16(sat)-11/3(wed)

どちらも大変ご好評をいただいています。
skwatさん、poubelleさん本当にありがとうございます。

思ったよりも長くなってしまいました。
伊藤氏は店主にとっては中学時代の美術の先生であり、美術館時代は上司であり、
旧ネット古書店の共同経営者、そして何よりも現代美術の師匠となります。
亡伊藤氏、遺族からの預かりものであるこれらの資料や蔵書をどのようにしたら一番活かして行けるのか、試行錯誤ですが、
皆様にご協力いただきながら良いサイトにしてゆきたいと存じます。

ボイスの資料アーカイブ、
フルクサスの資料アーカイブ、
伊藤氏の未完のデータアーカイブ、
手付かずの美術に関する「新聞記事切り抜き(40年分!?)」、
展覧会のリーフレットなどのエファメラ群、
ご興味のある方がいらっしゃいましたらばどうぞお声がけくださいませ。
何か良い展開になれば何より嬉しく存じます!
店主 廣瀬友子 拝