2025/09/18 19:02
konotabi
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exhibition
「FLUXUS AND ITS SURROUNDINGS 」
会期:2025年9月19日(金) 〜 12月15日(月)
会場:GASBON METABOLISM 2階展示室
この度、NPO Telescope企画、FLUXUS AND ITS SURROUNDINGSの展示をGASBON METABOLISM で開催いたします。■GASBON METABOLISMより
この展示を当館で開催できることを、大変嬉しく思っています。私たち自身にとっても知見が広がり学びの機会となること、そして清里の地で営まれていた美術館のアーカイヴを受け継ぎ、ここでご紹介できることを光栄に感じています。
■ 展示概要
この展示は、清里に1990年~2014年の間に存在した個人の美術館、清里現代美術館のコレクションの一部を展示するものである。
同館は、公立中学校の美術教員、つまり市井の人伊藤信吾氏の成したコレクションをもとに4人兄弟が力を合わせて設立した。ヨーゼフ・ボイス、アーノルフ・ライナー、ジョン・ケージ、アーティストブック、エフェメラなど、氏の慧眼が集めた幻の美術館であった。
同館には、フルクサスのコレクションを展示する扉のついたフルクサスルームが存在した。今年2月に出版されたアーカイブブック『KIYOSATO MUSEUM OF CONTEMPORARY ART. ARCHIVE 2: FLUXUS AND ITS SURROUNDINGS』は、このフルクサスコレクションの中でも、フルクサス関連の書籍や出版物に焦点を充てたものである。
本展示では、アーカイブブックに掲載できなかったものも含め、約400点を展示する。
■フルクサスとは・・・
1960年代から1970代にかけてNYで発生し世界各国で活動を行なった、芸術家、作曲家、デザイナー、詩人らによる前衛芸術運動である。リトアニア出身のデザイナー、ジョージ・マチューナスが主になって提唱した。FLUXUS フルクサスとはラテン語で「流れる、変化する、下剤をかける」という意味を持つ。日本人ではオノ・ヨーコ、武満徹、一柳慧、小杉武久、塩見允枝子、刀根康尚、ヨシ・ワダらがフルクサスの周辺にいた。フルクサスに関わったアーティストは、世界中に70名程いるといわれており、メンバーは非常に流動的で、固定化はされていない。このように、フルクサスは、関わるアーティスト数が多いこと、その表現活動や拠点が多岐に渡ることなど複雑で、いわゆる「一言」で語ることは困難である。
1960年代後半、当時はポップアートが最高点に成長し、コンセプチュアルアートという概念が生まれ始めた頃。アートマーケットがアートの価値を決定する現象、エリート主義的なアートが急成長する中、フルクサスはむしろ、本来の芸術の意味を人々に取り戻すという「反商業主義」を貫いていた。そして偶然やアクシデント、ユーモア、シンプルさを重んじた。主流のアートムーブメントに背を向け、生活とアートを分けない視座を持っており、身の回りで手に入るものを素材にして、一見すると陳腐でジョークに塗れた作品を量産した。多くの出版物を残しているのも特徴的である。アーティスト自身がハンドリングできる範囲で量産するという熱量はこの展示でも十分に感じていただけるだろう。
アートの歴史は常に主流の表現からの脱却を目指し、カウンターサイドから新しい概念を生み出す努力によって形成されてきた。フルクサスの斬新な姿勢は、当時アーティストやアートを巡る社会に多大な影響を及ぼしたとされている。
既成の概念を覆す新しい思考は、同時代の人々に広く理解され受け入れられることはなかなか難しい。しかし、フルクサスという芸術運動が生まれた時代から60年近く経った現代、社会は大きく変わり、概念も大きく変化した。当時は怪訝に遠くから眺められていたフルクサスが、今や繰り返し繰り返し世界各国の美術館で展覧会が開催され、研究書籍が出版される。そう今の時代精神をもってフルクサスを眺めて見ると、いかにフルクサスの精神が今日的だったかを思い知らされる。私たち各個人がアーティストと名乗るほどの事はなくても、身の回りで手に入るものでジョークと軽いノリで新しく小さな創造を生み出してゆく、そんな今日的な創造の実践を先の時代から見通して全肯定してくれるフルクサスのエネルギーを感じ取って欲しい。
※新刊!清里現代美術館アーカイブブック第2巻 [ KIYOSATO MUSEUM OF CONTEMPORARY ART. ARCHIVE Ⅱ: FLUXUS AND ITS SURROUNDINGS]
に掲載しきれなかったものも含めての展示です。ぜひお出かけください。
この展示を当館で開催できることを、大変嬉しく思っています。私たち自身にとっても知見が広がり学びの機会となること、そして清里の地で営まれていた美術館のアーカイヴを受け継ぎ、ここでご紹介できることを光栄に感じています。
■ 展示概要
この展示は、清里に1990年~2014年の間に存在した個人の美術館、清里現代美術館のコレクションの一部を展示するものである。
同館は、公立中学校の美術教員、つまり市井の人伊藤信吾氏の成したコレクションをもとに4人兄弟が力を合わせて設立した。ヨーゼフ・ボイス、アーノルフ・ライナー、ジョン・ケージ、アーティストブック、エフェメラなど、氏の慧眼が集めた幻の美術館であった。
同館には、フルクサスのコレクションを展示する扉のついたフルクサスルームが存在した。今年2月に出版されたアーカイブブック『KIYOSATO MUSEUM OF CONTEMPORARY ART. ARCHIVE 2: FLUXUS AND ITS SURROUNDINGS』は、このフルクサスコレクションの中でも、フルクサス関連の書籍や出版物に焦点を充てたものである。
本展示では、アーカイブブックに掲載できなかったものも含め、約400点を展示する。
■フルクサスとは・・・
1960年代から1970代にかけてNYで発生し世界各国で活動を行なった、芸術家、作曲家、デザイナー、詩人らによる前衛芸術運動である。リトアニア出身のデザイナー、ジョージ・マチューナスが主になって提唱した。FLUXUS フルクサスとはラテン語で「流れる、変化する、下剤をかける」という意味を持つ。日本人ではオノ・ヨーコ、武満徹、一柳慧、小杉武久、塩見允枝子、刀根康尚、ヨシ・ワダらがフルクサスの周辺にいた。フルクサスに関わったアーティストは、世界中に70名程いるといわれており、メンバーは非常に流動的で、固定化はされていない。このように、フルクサスは、関わるアーティスト数が多いこと、その表現活動や拠点が多岐に渡ることなど複雑で、いわゆる「一言」で語ることは困難である。
1960年代後半、当時はポップアートが最高点に成長し、コンセプチュアルアートという概念が生まれ始めた頃。アートマーケットがアートの価値を決定する現象、エリート主義的なアートが急成長する中、フルクサスはむしろ、本来の芸術の意味を人々に取り戻すという「反商業主義」を貫いていた。そして偶然やアクシデント、ユーモア、シンプルさを重んじた。主流のアートムーブメントに背を向け、生活とアートを分けない視座を持っており、身の回りで手に入るものを素材にして、一見すると陳腐でジョークに塗れた作品を量産した。多くの出版物を残しているのも特徴的である。アーティスト自身がハンドリングできる範囲で量産するという熱量はこの展示でも十分に感じていただけるだろう。
アートの歴史は常に主流の表現からの脱却を目指し、カウンターサイドから新しい概念を生み出す努力によって形成されてきた。フルクサスの斬新な姿勢は、当時アーティストやアートを巡る社会に多大な影響を及ぼしたとされている。
既成の概念を覆す新しい思考は、同時代の人々に広く理解され受け入れられることはなかなか難しい。しかし、フルクサスという芸術運動が生まれた時代から60年近く経った現代、社会は大きく変わり、概念も大きく変化した。当時は怪訝に遠くから眺められていたフルクサスが、今や繰り返し繰り返し世界各国の美術館で展覧会が開催され、研究書籍が出版される。そう今の時代精神をもってフルクサスを眺めて見ると、いかにフルクサスの精神が今日的だったかを思い知らされる。私たち各個人がアーティストと名乗るほどの事はなくても、身の回りで手に入るものでジョークと軽いノリで新しく小さな創造を生み出してゆく、そんな今日的な創造の実践を先の時代から見通して全肯定してくれるフルクサスのエネルギーを感じ取って欲しい。
※新刊!清里現代美術館アーカイブブック第2巻 [ KIYOSATO MUSEUM OF CONTEMPORARY ART. ARCHIVE Ⅱ: FLUXUS AND ITS SURROUNDINGS]
に掲載しきれなかったものも含めての展示です。ぜひお出かけください。